こんにちは、医師のとも 良縁スタッフです。
結婚は人生における大きなライフイベントです。家族が増えて暮らしがガラリと変わり、お金の使い途も変わります。また30~40代の勤務医であれば、開業を考え始める人も多いでしょう。そのため結婚後は、自分自身と家庭の双方の将来を考えたマネープランが求められます。本記事では、医師の4大出費と言われるマイホーム購入費、開業費、医学部進学のための教育資金、投資不動産購入費について、どのくらいの金額をどの順番で準備していけばよいのか解説します。
医師の4大出費とは?
医師が結婚した場合、考えられる大きな出費はマイホーム購入費、開業費、医学部進学のための教育資金、投資資金の4つです。それぞれについて詳しく見ていきましょう。
●マイホーム購入費・・・最低6000万以上。1億以上のケースが多い。
一般的にマイホーム購入費の目安は、年収の5~10倍と言われます。年収1,200万円ならミニマムでも6,000万円以上ということになりますが、実際は戸建かマンションか、中古か新築か、広さやマイホームを構える地域によっても異なります。

例えば住宅地の地価を見ても、「令和5年東京都基準地価格 」によると、東京23区は「64万7,900円/m2」に対し、「都心5区」と呼ばれる千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区になると「153万9,800円/m2」と場所により大幅に跳ね上がります。ちなみに国土交通省の「住宅市場動向調査(令和4年度)」によると、新築注文住宅の全国平均価格 は3,866万円です。ただし延床面積123.5m2、平均坪単価約104万円の場合なので、もっと広く坪単価の高い住宅を建てる場合はそれ以上の価格になります。
マンションについては、2023年の首都圏の平均価格によると 新築マンションで8,094万円(平均占有面積62.64m2)、中古マンションで4,270万円(平均占有面積59.85m2)と、新築と中古で大きな開きがあります。戸建、マンションいずれにしても、どこにどのくらいの広さのマイホームを建てるのかによって、必要な金額は異なります。
ちなみ に、持ち家の医師に行った調査では5,000万円以上の物件を購入した人が64.4%で、そのうち1億円以上の物件を購入した人は11.8%います。
医師の場合は、首都圏・大都市圏の場合は1億円以上の住宅を選ばれるケースが多いです。不動産価格の高騰もあり、希望を叶える物件は2億近いケースもあるでしょう。
●開業費・・・数千万円~1億円
開業にかかる費用の内訳は、敷金、礼金、仲介手数料、賃料、土地代、内装工事、医療機器、什器備品、OA機器などがあります。それ以外に、医療消耗品、広報費、人件費などの先行投資があるため、半年分を目安にした運転資金の準備も必要です。

診療科目によって使用する医療機器などが異なるため、必要な費用も変わります。またテナント開業か戸建物件を利用しての開業か、どの地域に開業するかによっても、コストは変わってくるでしょう。自己資金がなくとも融資などで調達できますが、開業資金の1割ほどは自己資金で準備しておくと安心かもしれません。
●医学部進学のための教育費・・・4,600~4,800万円(教育総額となると5,000万は確保したい)
医学部生の3分の1は親が医師 といわれます。親の職業に興味を示すのは自然なことですし、親としても子どもに医師になってほしいと願う医師が多いのではないでしょうか。
医師になるには医学部に進学する必要があり、他学部に比べて教育費は高額になります。目安の金額 は次の通りです。

■国公立大学の医学部
入学金:約30万円 1年間の授業料:約60万円 6年間で約400万円
※私立より教育費はかかりませんが、予備校費はマストです。また、偏差値が高い傾向にあり私立大学と併願するのが一般的です。
■私立大学の医学部
入学金:100~200万円 1年間の授業料:300~700万円 6年間で1,800~4,700万円
※学校により大きな差異があります。
高額な授業料に加え、大学が遠方の場合は、交通費や仕送り、一人暮らしにかかる費用なども必要です。なお、医学部受験の場合は、ほとんどの場合で予備校に通うことになります。予備校代として100~800万円 の費用が見込まれます。いずれにしても医学部受験に備え、お子さんが小さいうちから学資保険の積立や積立投資など準備を始めることが大切です。
●投資不動産購入費・・・数千万~(希望する節税や投資額により異なる)
年収の高い医師は、日本の累進課税制度のもとでは税率が高くなるため、節税対策として不動産投資を考える医師も多くいます。不動産は、不動産購入価額を一定の期間にわたり分割して費用計上(減価償却)でき、大きな節税につながります。医師の資産形成として非常に効果的な手法といっていいでしょう。また家賃収入により、本業とは別の収入の柱を築くこともできます。

投資物件は、マンションあるいはアパートといった共同住宅が一般的です。需要が高く空室になりにくい物件となると、都内や駅近といった利便性の高い立地が望ましいですが、その分、購入価格も高くなります。また地域のほかに築年数や構造、広さなどによっても価格は変わります。
これら4大出費に備えるには、各出費の金額や現況を把握した上で、どの資金から準備をしていくのか長期的な資金計画を立てることが大切です。特に4つの中で高額となる「開業費」と「投資不動産購入費」についてどちらを優先するかは重要なポイントとなります。2つのパターンを例に、最適な優先順位を紹介します。
◆「投資不動産購入費」が最優先となる場合
想定している開業時期まで5年以上の期間があり、長子が5歳以下の場合の優先順位は以下の通りです。
投資不動産購入費>開業費>マイホーム購入費>医学部進学のための教育費
開業まで長い期間があり、長子は未就学で教育費が本格的に増えるまでにも時間があります。とはいえ、5年もあれば世の中は大きく変わります。物価が大幅に上昇しているかもしれませんし、コツコツ貯めたとしてもこの低金利時代、なかなか思うようには増えないのが現状です。そのため、次に控える開業費を見据え、まずは投資不動産を購入し積極的な節税や投資によってできるだけ資産を増やすことを優先するのが望ましいです。
投資不動産の購入で節税となる原理は、建物の価値が経年劣化で減少する分を経費として計上するためです。償却期間は、新築であれば構造や用途によって定められた法定耐用年数で償却します。例えば、木造のアパートなら22年です。中古物件の場合は、法定耐用年数の一部を経過していると「法定耐用年数-経過年数+(経過年数×20%)」、法定耐用年数の全部を経過していると「法定耐用年数の20%」で減価償却します。
例えば、築22年以上経過した木造アパート物件は、「22年の20%」と4年間で購入費用の減価償却できる計算です。つまり、非常に短期間で大きな節税効果が見込めるのです。さらに家賃収入によっても、資産を増やすことができます。また、5年以上保有をしていれば長期保有の不動産となるため、売却益の税金も抑えられます。ただし、こうした物件は専門知識がないと簡単には見つけることができません。知識や経験が豊富な不動産業者を選ぶことも大切なポイントです。
投資と節税で原資を作り、開業の準備をしましょう。開業地によってマイホームの場所も決めやすくなります。お子様の人数も確定し、開業地も決まってからですと、安心してマイホームを選ぶことができます。開業後3年以降となると売り上げも読めてくるため、どのくらいのマイホーム購入が可能かも推測しやすくなります。開業で年収が上がったあとで理想のマイホームを手に入れ、医学部費用を貯め始めることができます。また、医学部費用を貯めるため、開業後に上がった収入の節税のため、改めて投資用不動産の購入を検討されるケースも多くなります。
◆すぐ開業したいなら、最優先すべきは「開業費」
すぐ開業したい場合は、当然「開業費」の準備が最優先となります。
開業費>投資不動産購入費>マイホーム購入費>医学部進学のための教育費
多額の資金の調達方法は、自己資金や親族からの援助のほか、金融機関などの融資制度を活用するのが一般的です。しかし、営業実績がない状態で好条件の融資を受けるのは難しいことです。開業サポートの経験が豊富な税理士さんを選ぶことでしっかりとした事業計画の作成や銀行回りのサポートを受けることができます。よほどのことがない限り、開業資金が調達できないということはありませんので安心してください。金利も高くないことが多いので、もし疑問を感じた場合は、弊社でも他社でもセカンドオピニオンを受けられることをお勧めします。
この場合は、それほど自己資金がない状態で開業をしている可能性もあるかもしれません。開業後に上がった収入の節税のため、投資用不動産の購入を行い、しっかりと現金を確保するようにしましょう。その後、ライフスタイルと収入、手元の現金の状況に合わせてマイホームを検討しましょう。理想の家でモチベーションを上げて、医学部進学のための教育費を貯めていきましょう。
まとめ
医師の4大出費に備えるには、出費の優先順位をつけることがとても重要です。そしてすべての出費に耐えうる財務基盤を築くためには、節税が欠かせません。年収の多寡も大切ですが、手取り額や自由に使えるお金にも目を向ける必要があるからです。企業の会計では、PL(損益計算書)やBS(貸借対照表)だけではなく、キャッシュフローのチェックも書かなせないのと同様です。
一般の会社員より所得が高い医師だからこそ、節税によって大きなメリットを享受できます。
例えば、所得が1,800万円以上になると所得税率は40%となり、住民税10%と合わせると所得の50%が納税にまわることになります。これを節税によって1,800万円未満に抑えることができれば、所得税率は33%とぐっと下がり、納税金額を大幅に下げることができるのです。結果として手元に残る金額が大きくなります。
家庭の幸せと開業という大きな夢を叶えるために、出費の優先順位と節税対策を重視した戦略的なマネープランを立てましょう。